最近、「台湾を築いた明治の日本人」(渡辺利夫著)を読み終わりました。
日本統治時代(1895年~1945年)の台湾について知りたいという方、特に台湾の近代化に日本人がどのように貢献したかということに興味がある方におすすめの本です。
私は台湾のことが好きでこれまで10回以上台湾を訪れていますが、台湾のことを知らなすぎることをこの本を読んで改めて気づかされました。
ここでは、本書に出てくる4人の日本人が成し遂げたことを超簡潔に紹介したいと思います。
「台湾を築いた明治の日本人」を読んで学んだこと
1.磯永吉:改良品種「蓬萊米」の開発
改良品種「蓬萊米」の開発によって、日本の米不足解消と台湾の米の生産量・農家の収入増加に貢献された方です。
当時の日本は、近代化にともない農村から都市への労働人口が流出し、国内の米生産だけで米需要を賄うことができなくなるという状況に陥っていました。
そんな難局を打開するために、当時日本の統治下にあった台湾から米を調達しようということになったのです。
ところが、当時の台湾の在来米は粒が長くてパサパサした「インディカ種」だっため、日本人の味覚に合う米の開発が重要課題になり、磯永吉さんが登場することになりました。
蓬萊米の開発にかかった歳月は、なんと20年近くだそうです。
2.八田與一:烏山頭ダム建設
烏山頭ダムと灌漑用水路の建設により、当時不毛の地だった台湾南西部に位置する嘉南平原を米の一大供給地へと変貌させた方です。
その結果、前述の蓬萊米の普及にも貢献することになりました。
ダム建設途中にはガス爆発で50名あまりの作業員が犠牲になったり、予算削減のために作業員をリストラしなければならなかったり、など多くの苦難がありました。
着工から完成まで10年(1920年~1930年)に及ぶ大プロジェクトでした。
3.第四代台湾総督 児玉源太郎と総督府民政長官 後藤新平:台湾近代化の基盤づくりに貢献
日本統治時代初期の1898年~1906年の8年あまりの期間、台湾を統治しました。
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- アヘン専売制度によるアヘン吸引者の削減
- 土地調査事業による徴税基盤の整備
- 南北縦貫鉄道の敷設
- 基隆・高雄築港事業
- 台湾銀行設立
(当時台湾住民300万人に対してアヘン吸引者は17万人もいたそうです!)
4.まとめ
約100年前の台湾で日本人が成し遂げたことが、現在の台湾の人々の生活に役立ち続けているというのが非常に感慨深いです。
本書では今回紹介した4人以外にも、台湾の近代化に情熱をもって粘り強く貢献した人々が登場します。
登場人物の業績だけでなく、彼らがどのような人生を歩んだかというところも描かれていて、非常に興味深く読むことができる内容となっています。
そういう点では、比較的読みやすい本だと思います。
今回は以上です。