日韓併合時(1910年~1945年)に、日本が朝鮮に対して一体どういうことをしたのか興味がある人におすすめします。
本書で「謝ろう」と言っているのは主に、日韓併合時に日本が朝鮮に対して多額の日本の国家予算を注ぎ込んで近代化してしまったことに対してです。
朝鮮人の意向も聞かずに、日本が勝手によかれと思い込んで朝鮮を近代化した結果、朝鮮の伝統を失わせてしまって「ごめんなさい」というのが、本書においての謝罪内容です。
かなりシニカルです。
日本が朝鮮に対してやってしまったこととは?
- 小学校を建てた(40校 → 4271校、しかも大学まで設立した)
- ハングルを普及させた(当時、朝鮮の文盲率は90%以上だった)
- 植林をした(1911年~1940年の間に5億9600万本を植林)
- 鉄道を6000kmも敷いた
- ダムを建設(鴨緑江に作った水豊ダムは当時世界最大級)
- 河川に橋をかけまくった
- 海岸を整備し港を建設
- 朝鮮の村々に電気を行き渡らせた
- 農業を変えた(灌漑、冷害に強い品種の米の導入などを実施)
- 身分制度の破壊
など
正直言うと私はここまで詳しい内容は知りませんでした。
日本統治下の台湾で行っていた教育や農業の改革やインフラ整備と同じようなことを韓国にもやっていたのか、ということがまず頭に思い浮かびました。
日本が朝鮮の近代化を急いだ理由
それはズバリ日本の安全を守るためです。
朝鮮が中国やロシアに占領されてしまうと日本の安全が脅かされるため、日本としては朝鮮には近代化して強い国となり日本の防波堤になってほしかったわけです。
日清戦争も日露戦争も、朝鮮をめぐっての争いだったというのを改めて認識しました。
印象に残った内容(ついでに韓国ドラマも紹介)
ハングルを普及させたのは日本
日韓併合時にハングルは学校で教えられることになり普及した、というのは初めて知りました。
読み書きができる特権階級である両班(ヤンバン)が使っていたのは漢文で、それまでハングルは下賤の者が使う文字という扱いでした。
ハングルを作ったのは朝鮮王朝4代王世宗(セジョン)ですが、せっかく作ったハングルもそこまで普及していなかったということだったんですね。
ハングル創製の苦労が描かれていてなかなか興味深いです。
- 「根の深い木~世宗大王の誓い~」(2011年)
- 「大王世宗」(2008年)
身分制度を破壊させたのは日本
李氏朝鮮時代は階級社会で、身分は大きく下記の6つに分かれていたそうです。
「両班」
「中人」(官僚気候を担った専門職)
「常民」(主に小作農)
「賤民」(妓生、白丁など)
「奴婢」
両班の横暴っぷりを描いたシーンは韓国の歴史ドラマにはよくでてくるので、見たことがある方はよくご存知かと思います。
日韓併合後、王族以外のすべての人は平等に扱われることになったので、両班から相当の反発があっただろうなと想像します。
賤民の中で一番身分が低いのが白丁(ペクチョン)です。
本書で紹介されていた白丁の禁止事項は、たとえば「日当たりのいい場所にすむことを禁止」、「一般民のまで胸をはって歩くことを禁止」などで、びっくりするような内容ばかりです。
差別が半端ないです。
朝鮮時代の歴史ドラマには必然的に身分制度は描かれることになりますが、数多くのドラマの中から3つを紹介
- 「ファン・ジニ」(2006年)
賤民である妓生(キーセン)が主人公
- 「済衆院」(チェジュンウォン)(2010年)
賤民である白丁(ペクチョン)が主人公
- 「トキメキ☆成均館スキャンダル」(2010年)
中人(チュンイン)に対する差別が一部のシーンで描かれています
朝鮮に主権を与えたのは日本
朝鮮は中国の属国であり、主権国家ではありませんでした。
ドラマでもよく中国に貢物や奴隷を送るシーンや、中国の使節団をもてなすシーンが出てきますよね。
中国の使節は感じの悪いキャラ設定であることが多い気がします。
本書中に、清の使者が来ると朝鮮国王は自ら出向き、「三跪九叩頭の礼(さんききゅうこうとうのれい)」で迎えないといけなかったとあります。
「三跪九叩頭の礼」とは、額を合計9回地面に叩きつけて行う礼です。
私が今まで見たドラマの中では、中国の使者に対して王が「三跪九叩頭の礼」で出迎えるという場面は見たことはありません。
第16代国王の仁祖が清の第2代皇帝ホンタイジに屈辱的な「三跪九叩頭の礼」をするシーンは見たことがあります。
王の額が血まみれになる壮絶なシーンでした。
日韓併合前の日清戦争後に締結した下関条約の第1条が「朝鮮の独立を清に認めさせる」というもので、これにより朝鮮は「大韓帝国」となり清国の属国という立場から解放されました。
これを機に清への朝貢も臣下の礼も不要となったというわけです。
- 「花たちの戦い -宮廷残酷史-」(2013年)
- 「華政」(2015年)
まとめ
本書では、日本と韓国の過去の出来事に対する認識の違いについても書かれています。
韓国の反日感情を理解するうえで、読んでおいて損はないと思いました。
堅苦しい歴史書ではないので、気軽に読めると思います。
今回は以上です。