オードリー・タン『自由への手紙』を読もうと思ったきっかけ
私がオードリー・タンさんを知ったきっかけは、多くの人と同じように、台湾のコロナ対策でマスクの在庫がリアルタイムで確認できるアプリを導入した人ということで注目を集めたときです。
そのときに、ものすごく興味深いバックグラウンドをお持ちの方ということを知って、そんなスゴイ人の考えていることに少しでも触れてみたい、という想いからこの本を手に取りました。
ちなみにこの本は、オードリー・タンさんが直接執筆したものではなく、編集部とのインタビューで出来上がった本です。
オードリー・タンさんについて
この本の中でも、オードリーさんはご自身についてもオープンに語っています。
普通じゃない経歴です。
- IQが160もしくは180
- 14歳で中学を自主退学
- 15歳でプログラマーとして仕事を始め、33歳で会社を売却して、ビジネス界から引退
- トランスジェンダーであることを公表
- 35歳の若さで、デジタル担当政務医院(大臣)に就任
『自由への手紙』の内容
従来の考え方やあり方から解き放たれるためにはどうしたらいいのか、ということがいろんな状況から考察されています。
大きくは下記の4章から構成されています。
Chapter1 格差から自由になる
Chapter2 ジェンダーから自由になる
Chapter3 デフォルトから自由になる
Chapter4 仕事から自由になる
こ『自由への手紙』を読んで知ったこと
台湾の政治について、下記のことを知りました。
日本が台湾から学べることがたくさんありそうだと感じました。
- 国民に対してオープンで、距離が近い。
- 政府に寄せられた国民の声に素早く対応
- 多様性を認める社会を本気で目指している
それぞれについて、本の中から例をピックアップしていきたいと思います。
国民に対してオープンで、距離が近い
オードリー・タン氏の活動の全ては文字で記録、あるいはビデオに録画されて公開
大臣であるオードリー・タン氏へのアクセスが容易
この本のための取材依頼メール送信後、8分後には1回目の返信があり、2日後には取材のスケジュール調整の話になったというエピソードが書かれています。
政府に寄せられた国民の声に素早く対応
コロナ対策で政府が用意したマスクがピンク色で、息子が学校に行きたがらなくて困っているという訴えがあったときの対応
・衛生福利部の大臣および関係者が次の日からピンクのマスクをつけて会見にのぞむ
・ソーシャルメディアのロゴもピンクに変更
「ピンクは女の子の色」という無意識に浸透した人々の考え方をスマートな対応で覆したって感じですね。
多様性を認める社会を本気で目指している
主要法案や1年以上続く主要プログラムはすべて、「ジェンダー共同参画委員会」がジェンダーに与える影響がマイナスかプラスか判断
その結果、例として、下記のようなことが実現されています。
・台湾議会の女性議員の割合が40%
・新しく建設される建物には4種類のトイレが標準装備
ユニバーサルデザインの多目的トイレ
ジェンダーニュートラルなトイレ
女性用トイレ
男性用トイレ
心に留めておきたいと思ったところ
- 違う人、違うもの、新しい人、新しい事柄を受け入れる姿勢をもち、
あらゆる多様な立場というものを理解しようとする。- 違いがあると同時に「全員に切り離せない共通の価値観」があると認識する
(Chapter4 仕事から自由になる 16 一枚岩から自由になる から)
自分の日常生活の中でも、自分と考え方・意見が違う人と付き合うときに使える考え方だと思います。
実践はなかなか難しいですが、心に留めておきたいと思ったところでした。
まとめ
オードリー・タンさんは、既成概念にとらわれない自由な発想を持っている方です。
彼女自身が異文化に触れてきた経験や、学んできた言語(母語は台湾語だけど思考するときは英語)や、トランスジェンダーであるということなどが大きく影響しているのだなというのがこの本からわかります。
そのような経験をしてきた人というのは、世の中にはなかなかいないわけで、既存の概念が自分の中に無意識に浸透していて、それが常識、当たり前だと思って、そこで思考停止してる人は、私を含めたくさんいるのではないでしょうか。
これからの社会を生きていくためのヒントがこの本にはたくさんあります。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
今回は以上です。